最近手に入れた技術書に現代カメラ新書、現像引伸の上手くなる本、中川一夫著、という本がある。この本の発行は昭和51年である。古い本であるが興味深い記述もある。
感光したフィルムのリーダ部の濃度が2.0以上になる現像をしてはいけない、という物である。リーダー部は露光量の差によって濃淡の差を表現できる限度を超えているので現像時間の差で濃度が変化するだけである。ということである。これを利用して現像時間を求めるという事である。その適正な濃度を測る方法として、新聞が十分読める明るさの室内でどうにか物や人が見える濃度のものがそれである、ということであった。そして濃度2.0というとゾーンシステムではゾーンXIの濃度1.85に近い物である。印画紙に表現できる濃度がここまでなのでこれ以上現像するのは無意味、ということであった。(35ミリフィルムではゾーンXと区別が付かない、ということではあるらしいが)これが本当であるか検証してみた。
Doouble-Xを正確な現像データが算出されているTRX2000で14分現像したネガのリーダー部の濃度はベース濃度を引くと1.81であった。私がデータを算出したDouble-XにおけるRodinal(1+49)の現像データ、11分30秒で現像した(現像は検証のため他の方に依頼した物)リーダー部もベース濃度を引くと1.91であった。N-2現像をするために検証したRodinalで10分30秒での現像でのリーダー部も1.86ということになった。
今のところ適正な現像時間で処理した物(N-2の検証のために現像したネガはありますが現像時間を長くしたわけではないので)は濃度2.0は越えていない結果となった。まだまだデータは不足であり、2.0を越える濃度を出せるのか気になる点もあるので検証は必要になりますが、これはもしかしたら現像時間が分からないフィルムを検証する前に使えるのではないか?とも思います。データが全く分からないのにテストネガを作って検証するのは時間がかかるのでこの方法で大体の時間を出してからテストネガを作り始めるのがいいのではないかと思った次第。
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