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​簡易ゾーンシステム

ゾーンシステムとは?

アメリカの風景写真家アンセル・アダムスが1930年代の終わり頃に打ち出したものです。被写体の選択からフレーミング、測光、露出、現像、印画紙へのプリントという一連のテクニックとして総合的に扱ったものになります。アメリカの写真教育ではプログラムの一環として取り入れられ、参考書も豊富に出ています。

⇒元々は大判カメラの手法なので留意が必要です。大判カメラはシートフィルムなので現像の調整で対応できるものがありますが、ロールフィルムはそういったことができません。

簡易ゾーンシステム

筆者命名。しかし同じ事を発表している方もいて、述べていることは大体同じです。別に真似した、盗んだと言うわけではないことはご理解ください。その方とお話をしましたがプリントにおいて大切なことを突き詰めていったらそうなったと言うことです。私も本を読んだりするなどしてこの考えに行き着きました。いろいろ考えていると行き着く先なのでしょう。

方法

・被写体を観察し、ゾーンスケールを見ながらここはゾーンいくつが当てはまるか考えていく。

ゾーンスケールとは?⇒被写体のトーンを11段階に分けて中間をゾーンVとしたもの。ゾーンVは中間グレー、18%グレーである。隣り合うゾーンはシャッター、絞りで1段の差があります。

Wikipedia、ゾーンシステムの項より引用

・入射光式露出計で測光。これを基準の値とします。

⇒これから測光するものの数値が極端な数字でないことを確認するためです。もちろん測光した場所が被写体と同じような光の当たり方の条件(日陰でないなど)である必要はあります。

私はセコニックのL-508を利用して露出を測っています。入射光式、反射光式両方が備わっているためです。扱いやすい露出計だと思います。中古で探しましたがそこまで高いものではありませんでした。このような露出計はおすすめです。

・反射光式露出計で各ゾーンを測光します。反射光式露出計の算出する数値の値は測光した場所を18%グレーとして数値を算出します。そのため算出された数値を補正する必要があります。私はF値を固定してシャッター速度を補正するやり方で補正を行っています。こちらの方がぱっと算出できるためです。

そして重要になるのはゾーンⅢ、「平均的な黒さ・暗さであり、十分な質感を持つ」場所です。ここを基準にシャッター速度、絞りを決定します。ここを測光した数値を-2補正すればゾーンVの露出が算出されます。

測光を何度か繰り返し、当てはめたゾーンがきちんと思い通りに描写されるかを確認します。その際メモ等を取っておくと良いと思います。

私のメモです。これは清書したものですので実際のものはもっと汚いです。算出された数値をメモしてあります。

・測光した結果からこの写真はシャッター速度1/125、絞りはF8で撮影を行っています。この数値で2回撮影しているのはフィルムの始まりで撮影したため最初の1枚が感光してる可能性を考えたため、3枚目以降は数値を変えているのは念のため撮影したためです。

・撮影後は現像、その後はスキャンして画像編集ソフトで補正、もしくは引き伸ばしを行います。

この画像は1/125 F8で撮影した写真です。フィルムはORWO UN54をISO50で撮影、現像液はロジナールです。スキャン後Lightroom Classicで露出の補正、コントラストの補正を行ったものです。引き伸ばし機で言うところの露光時間の調整、コントラストフィルターの調整を行ったものです。

厳密に言いますとゾーンシステムで撮影を行う場合、フィルムの本当の感度を知る必要があります。私が撮影に使ったORWO UN54は公称の感度はISO100ですがロジナールで現像した場合実際の感度はISO50程度のようです。この数値は業者さんに測定してもらった数値です。

フィルムの実際の感度を知りたい場合は測定を行ってくれる業者さんがいますのでそちらへ依頼する方が確実です。

ただ実際の感度を知らなくともこの方法で撮影すれば調整等でカバーできると思われます。(試していませんがこのような撮影方法を扱った海外の書籍:The Film Photography Handbook: Rediscovering Photography in 35mm, Medium, and Large Format (English Edition)には実際の感度の話は出ていませんでしたので)

複雑なゾーンシステムをざっくりと応用したものですがいかがでしょうか。そのためあくまで「簡易ゾーンシステム」とさせていただきます。私もそこまでしっかりとゾーンシステムを勉強したわけではないので不十分な点もありますが同じような事に言及している方や書籍(先ほど出した書籍です。Kindleでも読めますので是非。英語です)もあるので大きくは乖離していないと思います。何かご意見、アドバイスがありましたらメールやtwitterで教えてくれますと助かります。

参考文献、参考資料

 Do PHOTO 22号、23号 ディアゴスティーニ

 露出計の使い方 セコニック

 ゾーンシステムハンドブック 中島秀雄 田中益男 著 朝日ソノラマ

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